3月27日、日曜日。東日本大震災が発生して、約2週間。

それまでメンバー全員で、どのようなライブにするか熱心に計画し、準備をしてきたのを全部ふっとばしてしまうような衝撃でした。ライブは開催できるのか、計画停電にぶつかったらどうするのか、開催できるならばどのようなイベントにするのか、また考えはじめました。 自分のステージで1曲目を歌う前に、「このライブがちゃんと開催できることに感謝します」と言ったのは、実にピュアな気持ちからでした。
ふたを開けてみれば、お客さんもたくさん駆けつけてくれたし、もろもろのネガティブ要因を忘れるような熱い一日になりました。 あらためて、感謝の気持ちでいっぱいです。

メンバー揃って打ち合わせたり、準備をする時間が限られていましたので、5人それぞれができることをできる限り頑張って準備をすすめていました。 事前に予約してもらったお客さんには、特典を用意しました。ボーナス的な映像を集めたDVDです。内容は『歌うんじゃあ路上ダイジェスト&歌うんじゃあのテーマができるまで』です。 喜んでもらえているという声を聞いて、とても嬉しく思っています。

会場ではこの日のためにと作った『歌うんじゃあのテーマ』をオープンから流していました。作曲はMUYOKUさんなんだけど、みんなで編曲してそれぞれの個性が生かされた楽曲になりました。ちゃんとレコーディングしようという話になっていたけれど、結局それもできていませんでした。なので、当日流れていたのはカラオケボックスで録音した一発録りです。 この曲もとても受けが良くて、うれしかったなあ。

当日の順番決めも、なかなか大変でした。それぞれに思いがあるからね。 話し合い、意見を交わし合い、最終的には全員納得のいく順番になりました。

当日は入場のときにSEを用意することになっていたので、ぼくは『The Back Seat of My Car』(by Paul & Linda McCartney)で登場しました。みんな趣向を凝らした、個性的なSEを選んでいて、楽しかったな。ちなみにメンバー同士も、それぞれがどんな曲を選んだか知らなかったのです。


ステージが始まってしまえば、あとは魂の交歓でした。 いつも通りに、精一杯歌って、精一杯楽しみました。 みんなの顔が見えました。後ろで見ているメンバーたちの表情までありありと覚えています。 Napで出会った仲間たちとしのぎ合い励まし合い、路上に繰り出して学び楽しみ、そしてNapにかえってきてイベントを成功させる。大きな悲しみと困難の中で行った分だけ、大きな財産になりました。

ぼくの音楽の旅は続くし、メンバーそれぞれの旅も続くし、歌うんじゃあも続いていきます。先のことはわかりませんが、今を生きているその一瞬一瞬が奇跡の連鎖です。今回のライブにきてくれた人にとっても、ぼくたちにとっても『はじめて』は今回だけ。それが、ライブです。

本当に、どうもありがとう。

もうぼくたちは次の目標に向かって歩きはじめています。 ビッグマウスかもしれませんが、日本を元気に。健康に。 状況は厳しくとも、心に光を強引にでも灯して。 いつの日か、夢だと思っていたことが実現できるようにがんばります。

長谷川光志  

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